【書評】宇佐美寛著『〔新訂版〕大学の授業』

子どもを「育てる」教師のチカラ 季刊34号2018年夏 より

宇佐美寛『大学の授業』から学ぶ学級経営の本質

この本のはじめから数十ページほど読み進めていくだけで、小中学校の現場において担任教師が心しておくべき重要なことが書かれていることに気づくだろう。

たとえば「第3章 定刻と遅刻」には次のような具体的な指導場面が紹介されている。

 学生は、約束を信じて10時30分以前に教室に入るのが当然である。この当然の行為をしている学生を裏切ってはならない。「まあ大体の時刻でくればいい。少しくらい遅れても授業は始まっていない。」とたかをくくる学生の方が結果的に当たっていたなどという事態を起こしてはいけない。まじめに時刻を守る学生より、たかをくくる学生の方が利口だという事態を教師が作ってはいけない。(13・14ページ)

 小学校においてわれわれは授業の開始時刻を守っているか? やりきっているか? まじめに時刻を守って着席している子どもたちが損をする指導になっていないか? たとえば、遅れてくる子どもたちを待った挙句に「何をしていたの?」という説教をするような愚行を繰り返していないか? 教師は「遅れてきた子の行いを正すのだ」という正義感をもって指導にあたっているのかもしれないが、大きな誤りである。教師がよかれと思って行うことが実は害を及ぼしてしまう。いわゆるヒドゥンカリキュラムである。

私はすぐ「そこの遅れてきた者は、すぐそこに座れ。」と言う。たいていは、この指示に従って、そこに座る。しかし、聞こえたのか聞こえなかったのか、最後列まで歩いていて座る者がいる。私はその学生のところへ行って言う。「遅れてきたらすぐ座るのだと先週言った。一番前の席に行って座れ。」彼は一番前の空いている席まで戻って座る。(16ページ)

 子どもたちに一度示した「ルール」を破る行為を簡単に許していないか? ここを崩すと学級の秩序が維持できなくなり、最悪の場合「学級崩壊」を招くことになる。

はじめの数十ページだけでも小学校教師が学級経営を行っていくうえで大切なことがたくさん書かれている。学級経営の本質を学びたい人必読の書である。

(奈良県広陵町立東広陵小学校 土作彰 評)

〔新訂版〕大学の本質

【東信堂 本体価格2,500円】

 

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