【書評】丹辺宣彦・岡村徹也・山口博史編著『豊田とトヨタ』

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【書評】丹辺宣彦・岡村徹也・山口博史編著『豊田とトヨタ

中日新聞社 中日新聞(朝刊)「豊田とトヨタのかかわり」より (2014年12月9日)

名大学院教授ら研究成果出版

トヨタ自動車本社のある豊田市の地域社会の現状をまとめた本「豊田とトヨタ」を、名古屋大学大学院の丹辺宣彦教授(社会学)らが出版した。トヨタ社員が地域に根付き、まちづくり活動に熱心な姿を報告している。

丹辺教授ら十三人の学識者が執筆。四部構成で、豊田と地域社会の関係、まちづくり団体の活動事例、多文化共生の取り組みなどをつづっている。

まちづくり活動では、過去の学識者の研究で「地域に無関心」といわれてきたトヨタ社員が、実際は他の市民よりも熱心に取り組んでいるとの研究成果を掲載。市民へのアンケート結果やインタビューなどからその実態を描いている。
丹辺教授は「先進的な産業都市に発展を遂げた豊田の今を知ってほしい」と話す。

A5判、四百四十頁。税別四千六百円。名古屋市内の大型書店においているほか、出版元の東信堂(東京)のホームページでも購入方法を案内している。(河北 彬光)

東海日日新聞社 東日新聞 書評より (2014年12月3日)
グローバル企業トヨタを擁する豊田市の現在を編著者の一人、丹辺宣彦・名古屋大学大学院環境学研究科(文学部)教授は序章「変貌するトヨタと研究の視点」、第1章「産業グローバル化最新地域の経済活動と階層構成」―西三河地域と豊田市―1970~2005年―」で分析、豊田市をめぐる社会経済的条件の変化、豊田市の産業、人口・階層構成と地区特性、外国人住民をめぐる状況を明らかにしている。

岡村徹也・中京大学非常勤講師は「トヨタ自動車の地域戦略と組織再編―地域社会との接点としての社会貢献活動」のあり方を考察する。

谷口功・椙山女学園大学人間関係学部准教授と丹辺宣彦は「豊田市のコミュニティ施策の展開―制度化される市民活動」で市民活動の制度化と社会的交換をみている。

丹辺宣彦と鄭南・吉林大学哲学社会学院(中国)講師は「自動車産業就職者の地域生活―男性現役層・退職者の地域的紐帯をめぐって」、丹辺と新城優子・中京大学非常勤講師は「女性たちの社会活動参加―—性別役割分業とライフステージをめぐって」を考察している。

山口博史・名古屋大学国際教育交流本部国際教育交流センター・特任講師、丹辺宣彦、中根多恵・名古屋大学大学院環境学研究科研究員は「産業都市における市民団体の活動空間とネットワーク」、菅原純子・元とよた市民活動センターNPO相談員と木田勇輔・大同大学非常勤講師は「豊田市における市民活動の展開とその支援政策」の現状を見る。

中村麻里・名古屋文理大学健康生活学部准教授は「自動車産業退職者の定年帰農」、米勢治子・NPO法人保見ケ丘国際交流センター理事、土井佳彦・NPO法人多文化共生リソースセンター東海代表、山口博史は「多文化共生にかかわる市民活動」で日系ブラジル人支援活動を注目している。

大谷かがり・中部大学生命健康科学部助教は「多文化共生をめぐる市民活動のネットワーク~豊田市の外国人医療支援グループの場合」、岡村徹也は「グローバル企業の人材育成と育成―トヨタ工業学園高等部の人材育成・教育プログラム」を検討、丹辺・岡村・山口の編著者は「岐路に立つ豊田とトヨタ」で展望と都市研究への意義を総括している。

 

豊田とトヨタ

【東信堂 本体価格4,600円】

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