書評 ホワイトハウスの広報戦略

書評  『広報』 No.770 2016年7月号より (2016年7月10日)

 『ホワイトハウスの広報戦略 大統領のメッセージを国民に伝えるために』

  著者:マーサ・J・クマー/訳者:吉牟田剛wh-B

 アメリカ合衆国大統領が居住し、執務を行うホワイトハウス。著者は大統領制に関する研究者で、学者でありながらホワイトハウスの記者室に長期間滞在を許され、その経験を基に分析を続けている。訳者は総務省に勤務しており、これまでに内閣総理大臣官房広報室、内閣参事官(総理大臣官邸報道室長)、総務省政策評価広報課長などを務めた。

 歴代大統領のもと、ホワイトハウスに一貫して設置されてきた「コミュ二ケーション室」。主に、大統領の演説作成や地方メディアへの情報提供、各種団体に対する広報活動などを担う。コミュニケーション活動を統括する者が置かれ、 大統領を強力にサポートする。

 本書は原書のうち、ホワイトハウスに おけるコミュニケーション組織の発達やコミュ二ケーション活動の内容、クリン トン、ブッシュ、オバマ各大統領のコミュニケーション活動についてまとめている。各章からは、ホワイトハウスが常に、メディアやその先にいるアメリカ国民とのコミュニケーション活動に腐心しているかが伝わってくる。

 3人の大統領が就いた20年超の間にメディア環境は激変したが、テレビの単独インタビューなど従来のメディアを好み、テーマを設けて議論することが多かったオバマ大統領など、その手法には大統領の個性が表れる。また、スキャンダルが相次いだクリントン大統領、 2001年9月11日の同時多発テロでのブッシュ大統領など、さまざまな危機におけるコミュ二ケーション対応は、危機管理と広報を考える観点からも興味深い。

【束信堂 本体価格2,800円]

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