タイトル 原発災害と地元コミュニティ
サブタイトル 福島県川内村奮闘記
刊行日 2018年1月31日
著者 鳥越皓之編著
定価 3600+税
ISBN 978-4-7989-1425-1
Cコード C3036
ページ数 376
判型 A5
製本 上製

川内村住民による原発事故後の地元コミュニティをめぐるライフ・ヒストリー
2011年福島第一原発の事故は放射能汚染などのハード面のみならず、既存のコミュニティというソフト面にも甚大な被害を及ぼした。福島県川内村は、事故現場から20~30km圏内に位置し、住宅損壊に加え放射能という「不可視」な脅威によって多くの住人が避難を余儀なくされた地域である。川内村コミュニティは放射能汚染と住民避難によって農業などの生業への影響、同居していた家族の分断に追いやられるといった危機を経ながらも、既に半数が帰村しコミュニティは新たな地平を築きつつある。原発事故後の人々のライフ・ヒストリーから地元コミュニティに対する葛藤を描写する本書は、一枚岩では語ることのできない多様な「被害」の実態と地元コミュニティをめぐる人々の動態を描く、渾身の労作である。

まえがき … …………………………………………………………………… xi
第1部 災害の発生と川内村 3
1-1 災害とコミュニティ …………………………………… 鳥越皓之 5
1 コミュニティとは 5
2 三つの機能 6
3 生産のためにはコミュニティは不可欠 8
4 生活の場としてのコミュニティ 10
5 地域コミュニティはつねに災害を念頭においていた 13
6 震災研究での指摘 14
7 川内村のコミュニティ 15
1-2 川内村の歴史と地域コミュニティ ………………… 金子祥之 18
1 人びとを取り巻く構造の変容 18
2 近世村落の成立 19
3 近世の産業構造 21
4 エネルギーの生産地としての川内村 23
5 エネルギー構造の転換と原発誘致 25
6 地域自治の枠組み―上川内と下川内 27
7 行政区と8 つのムラ 28
8 ムラとヤシキ―行政区と班 30
第2部 住民一人ひとりが語る経験 37
A 大災害からの避難
2-1 カタストロフィーと行政対応 ……… 金子祥之/話者:井出寿一 39
1 困難な決断の連続 39
2 富岡町の避難者受け入れ 40
3 「殉職」を覚悟した全村避難の決定 47
4 福島県最大の避難所・ビッグパレット 51
5 多くが去った村への対応 52
6 帰村の方針への賛否―帰村宣言まで 55
7 帰村へ向けての不安との闘い 60
8 「村のため」という判断基準 62
2-2 災害弱者の避難生活 ……………… 金子祥之/話者:渡辺ヒロ子 66
1 災害の衝撃と生活条件 66
2 家族で支えた夫の病気 66
3 地震と命拾い 68
4 「避難の夜」の苦しみ 69
5 避難という集団生活 71
6 娘を頼る自主避難へ 72
7 川内村への帰村と重なる死 73
2-3 支援が生み出す分断…… 金子祥之/話者:三瓶カツ子・大和田あけみ 77
1 支援がもたらすもの 77
2 散り散りになる家族―発災時のあけみさん 79
3 発災時のカツ子さん 81
4 夫の状況 82
5 原発災害と千葉へ行く決断 83
6 家族の再会と更なる避難 85
7 初期避難を支えたもの―家族・親族関係 87
8 「住むところ」を求めて―支援のもたらす葛藤 88
9 県外避難の選択と情報格差 90
10 帰宅と2つの被災者―支援のもたらす分断 92
11 硬直化する公的支援 93
12 支援の境界線―誰が被災者なのか 95
2-4 医療従事者の葛藤 …………………… 野村智子/話者:井出弘子 98
1 役場職員の夫婦 98
2 地震発生直後-診療所での対応 98
3 娘のいるさいたまへの避難 101
4 ビッグパレットふくしま(郡山)へ 104
5 家族の避難生活 106
6 川内村診療所の再開 107
2-5 避難をしない選択 ………………… 野村智子/話者:鈴木美智子 109
1 商店経営の家族 109
2 地震発生時の美智子さん 109
3 1 区集会所で避難者の支援 110
4 避難しない決断 114
5 留まったあとの生活 115
6 川内村に残って得たもの 117
7 事故後4 年半を経て 119
B 帰村と選択
2-6 帰村を促した要因 …………………… 野村智子/話者:井出弘子 121
1 家族それぞれの帰村 121
2 お義母さんの病気 123
3 妹家族の出来事 125
2-7 帰らない理由と近隣関係 …………… 野村智子/話者:吉田悦子 127
1 避難指示解除準備区域の家族 127
2 川内村貝ノ坂地区 128
3 悦子さんの暮らし 128
4 悦子さんの避難-地震発生時の様子から 129
5 息子たちの避難-次男と四男夫婦 130
6 悦子さんの家と近所の人びと 131
7 ご主人とヤギ小屋 133
8 仮設住宅での生活 136
9 帰らない理由 137
2-8 三世代家族の分離 …………………… 野村智子/話者:西山王子 140
1 震災以前の生活-三世代の同居 140
2 地震の発生時の王子さん 140
3 家族の避難と避難生活 142
4 王子さん夫婦の帰村 144
5 息子家族の生活 145
6 川内村の生活 146
7 ひとつの家族がふたつの家族に 147
2-9 子育て世代にとっての帰村 ………… 野田岳仁/話者:秋元活廣 149
1 子育て世代の抱える不安 149
2 責任感や義務感では帰れない 150
3 震災によって遅れた結婚 152
4 田植え作業を通じて感じた親の存在 154
5 子を守る親の責任 158
2-10 若者と再離村 ………………… 藤田祐二/話者:山崎優也(仮名) 161
1 刻々と迫り来る放射能と仕事 161
2 震災直後の状況 162
3 避難地郡山市から帰村する決断 164
4 食べる物もガソリンもなく 166
5 復活した祭りの助っ人 168
6 除染の仕事と将来の不安 169
7 再離村と新たな挑戦 171
C 復興に向けて
2-11 コミュニティにとっての農業 ……… 藤田祐二 /話者:井出剛弘 172
1 農業を続けること 172
2 農地の放射能汚染と除染 175
3 気力と体力減退という被害 178
4 休耕田からの被害 180
5 復興のために奪われた農地 181
6 放射線量全袋検査と農業継続 183
7 被害があっても農業を続ける 185
8 働く文化と意味 187
2-12 除染を拒否した篤農家 … 野田岳仁/話者:秋元美誉・秋元ソノ子 190
1 なぜ農地の除染を拒否したのか 190
2 農地の放射能汚染 190
3 前を向くために記録をとる 193
4 目の前の農地を青くするために 195
5 たい肥による土壌改良 196
6 農地の除染の拒否 197
7 農家にとっての生活再建とは 200
2-13 自然を離れて生きる … 金子祥之/話者:久保田安男・久保田キミエ 202
1 平穏な生活の背後にあるもの 202
2 仕事熱心な農家 203
3 隣近所がいなくなる 204
4 息子の家での避難生活 206
5 避難時の気持ち 207
6 ムラに帰村するまで 208
7 農業をやらない決断 211
8 「食い心」の悪さ 212
9 消えた「ヤマの楽しみ」 214
10 子供の生き方を決める 216
11 廃炉までの作業を誰が担うのか 217
12 一生を振り返って 219
13 帰村者の抱える晴れない気持ちとは 220
2-14 復興政策と地域振興策の衝突 ……… 藤田祐二/話者:新妻一浩 222
1 政策の副作用 222
2 放射能汚染と生活不安 222
3 帰村宣言への不信感 224
4 不安を抱えながらの暮らし 225
5 みんなの夢―ソバ栽培が軌道に乗るまで 227
6 ソバ栽培の困難―「ソバ畑が仮置場になった」 230
7 流通の困難―信頼できる測定 234
8 共同の困難 238
9 復興対策と地域に根差した産業 240
第3部 現状と将来に向けての対談 243
3-1 地元のリーダー・井出茂さんとの対談 ………… 聞き手 鳥越皓之 245
1 避難者がやって来る 245
2 安全性と自分たちの避難 247
3 村を離れる 251
4 村に戻れるか 254
5 教育環境と教育についての考え方 256
6 世代による考え方の違いと仕事 261
7 山や自然 267
3-2 遠藤雄幸・川内村村長に聞く ………………… 聞き手 鳥越皓之 271
1 帰村して大丈夫か 271
2 戻れる人は戻ろう 274
3 ソ連のチェルノブイリ原発災害との比較 276
4 元の場所に帰りたいのか 279
5 先祖から受け継いできた田や畑や森 279
6 除染がはじまる 280
7 きれいな農村・生産のサイクル 283
8 汚染と商品価値 284
9 村全体の避難 288
10 震災の発生 291
11 政府は安全だと言う 294
12 帰村の実現と将来像 296
13 村づくりをもう一度考える時間をもらった 298
第4部 資料編・川内村震災の記録 301
4-1 川内村震災の記録 ………………………………………………… 303
4-2 2011 年作付け記録 ………………………………………………… 343
4-3 診療所勤務記録 …………………………………………………… 344
あとがき … …………………………………………………………………… 347
執筆者紹介…………………………………………………………………… 349

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