タイトル 検証 公団居住60年
サブタイトル 〈居住は権利〉公共住宅を守るたたかい
刊行日 2017年11月30日
著者 多和田栄治
定価 ¥3080(本体¥2800+税)
ISBN 978-4-7989-1445-9
Cコード C3036
ページ数 312
判型 A5
製本 上製

生きる=居住するスタンダード、
その意味を問い続けて60年!!
公団住宅は誕生して62年になる。著者は入居52年来、自治会活動をつづけてきた。まずは「まちづくり」に取り組み、1978年に公団初の家賃値上げに抗して家賃裁判に参加、「居住は権利」を訴え、いまも住宅運動とコミュニティ活動の最前線に身をおく。日本住宅公団の設立から都市再生機構にいたる変遷の経路をたどり、公団業務・財務の実態を明かす。政府が公団住宅廃止を打ちだして20年。団地の住まいと公共住宅を守ってきた居住者連帯のたたかいを記録し、住宅政策転換への国民共同を呼びかける。

まえがき
公団住宅1955―2017年 略年表
第1 部 団地入居とまちづくり
Ⅰ 憧れの団地に入居できて
1公団家賃は初めから高かった/2緑色だった第2団地と土ぼこり/
3憧れのダンチ生活/4団地入居者の特性/5入居してまず自治会を結成/6自治会設立と日常活動/7わが団地の幼児教室
Ⅱ 団地の出現と国立のまちづくり
1国立に団地ができるまで/2団地児童は受難つづき―教室不足と学区変更/3市庁舎建設と大学通りの歩道橋/4国立市、夢が嘆きに /5団地ができて国立市は
Ⅲ 70年代、団地のなかの環境問題
1ごみ処理―ダストシュートと焼却炉、ごみ置場も撤去へ/2マイカーの駐車はどこに?/3団地を襲った石油ショック、商店街の盛衰/
Ⅳ 家賃値上げに反対し裁判でたたかう
1初の家賃いっせい値上げ予告と全国自治協の結成/2がら空き団地と欠陥用地買収のツケ/3大臣示唆から8年、公団初の家賃いっせい値上げ実施/4家賃現行支払いから裁判提訴まで/5燃えあがったわが団地の家賃値上げ反対運動
第2部 公団住宅の誕生から公団家賃裁判まで
V 日本住宅公団設立と公団住宅
1日本住宅公団法の成立/2公団住宅の誕生
Ⅵ 大資本奉仕の実態と用地買収の黒い霧
1賃貸住宅と分譲住宅/2大企業奉仕の特定分譲住宅/3さらに民営賃貸住宅の建設・販売まで/4工場用地、流通業務用地、研究学園都市建設/5金融資本をもうけさせた公団の財務/6大阪府「光明池」団地をめぐる黒い霧/7 長期未利用地買い込みの顛末
Ⅶ 公団家賃裁判―提訴から和解解決まで
1公団家賃の決定と変更の原則―原価主義/2家賃格差を生む公団家賃高騰のおもな原因/3公団に家賃改定の方式はなく―「公営限度額方式」準用の欺瞞/4全国自治協が提訴した目的/5家賃裁判を支えた原動力―6年にわたる裁判運動/6被告公団の主張/7原告陳述から/8証人尋問/9住宅・都市整備公団への再編/10裁判係争中に家賃再値上げ強行/11「国会要望」決議と裁判解決の提起
第3部 中曽根「民活」――地価バブルのなかの公団住宅
Ⅷ 公団住宅の市場家賃化と「建て替え」着手
1「市場家賃化ルール」論議と第3次家賃値上げ/2家賃値上げの国会審議と「国会要望」 /3地価バブルのはじまりと住都公団「民営化」の動き/4住都公団の「建て替え」事業着手/5「敷地の適正利用」と「居住水準の向上」/6 建て替えの法的根拠/7 公団は借地法・借家法「改正」に何をもとめたか? /8「借地法・借家法改正要綱試案」に自治協意見書/9消費税導入に反対―家賃課税を撤回させる
Ⅸ 建て替えにたいする居住者の困惑と抵抗
1建て替えへの期待と不安/2建て替え事業の概要と自治協の見直し要求/3建て替え団地の苦闘/4建て替え事業の変遷と制度の手直し/5昭和40年代団地をねらう「公共賃貸住宅建替10ヵ年戦略」
Ⅹ 地価バブルのなかの団地「改良」― 国立富士見台団 地の場合
1分譲住宅の建て替え計画/2一室増築/3住戸内設備の改善(ライフアップ事業) /4総合的団地環境整備事業 152
XI 転換きざす住宅政策と公団の変質― 90年代の居住 者実態
1行きづまりをみせた臨調・中曽根路線/2第6期住宅建設5ヵ年計画にみる住宅政策の推移と転換/3住都公団「民営化」への先導 /4地価バブル便乗をつづける第4次家賃値上げ/5公団の変質をあらわにした第5次家賃値上げ/6政局混迷のなかの家賃値上げ大臣承認/7 1993年アンケート結果にみる居住者の生活実態
XI 住宅政策大転換のはじまり―都市基盤整備公団へ
 再編
1住宅審答申「21世紀に向けた住宅・宅地政策の基本的体系」/2ただちに動き出した住宅政策の「新しい方向」―公営住宅法の改悪 /3「公団つぶし」政官財が一体、マスコミも加わって/4住都公団廃止の閣議決定と賃貸住宅政策へのいっせい攻撃/5都市基盤整備公団の設立/6市場家賃化の問題点―家賃の新ルールと第6次家賃値上げ/7都市公団5年間の事業を検証
XII 住宅政策大転換のはじまり―都市基盤整備公団へ再編
1住宅審答申「21世紀に向けた住宅・宅地政策の基本的体系」/2ただちに動き出した住宅政策の「新しい方向」―公営住宅法の改悪/3「公団つぶし」政官財が一体、マスコミも加わって/4住都公団廃止の閣議決定と賃貸住宅政策へのいっせい攻撃/5都市基盤整備公団の設立/6市場家賃化の問題点―家賃の新ルールと第6次家賃値上げ/7都市公団5年間の事業を検証
第4部 小泉「構造改革」と公団住宅民営化の道
ⅩⅢ 独立行政法人化して都市再生機構に改組
1都市基盤整備公団廃止の閣議決定/2国土交通省の都市公団「民営化」案と独立行政法人化決定/3公団住宅売却・民営化に反対する公団自治協のたたかい/4公団住宅「改革」と公共住宅制度の破壊/5都市再生機構法案と国会審議/6全会一致の都市機構法付帯決議/7公団期の財務構造と経営状況―公団から機構へ/8賃貸住宅の経営状況/9都市再生機構の中期目標と中期計画
ⅩⅣ 住生活基本法は小泉構造改革の総仕上げ
1住宅政策の大転換をめざす道筋づくり/2「新たな住宅政策に対応した制度的枠組み」と公的賃貸住宅制度/3公共住宅政策を骨抜きにした住宅関連3法/4住生活基本法制定に動きだす/5住生活基本法をめぐる自治協要求と国会の法案審議/6住生活基本計画の中身/7「住宅セーフティネット法」とは

ⅩⅤ 「規制改革」の名の公団住宅削減・売却、民営化方針
1答申そのままに「規制改革推進3か年計画」を閣議決定/2規制改革と民営化は一体のもの/3公団住宅廃止にむけて追い討ちをかける規制改革会議/4都市機構「UR賃貸住宅ストック再生・再編方針」
5正体見えたり「規制改革」、広がる批判 /6規制改革会議の第3次答申―公団住宅の「部分民営化」と定期借家契約の拡大/7大手不動産・ゼネコン奉仕にすすむ都市再生事業/8公共住宅に定期借家契約の導入・拡大をねらう/9「規制改革推進3か年計画」に自治協の総決起/10国会質疑をつうじ公団住宅削減、「再生・再編」方針に待った/11 2009年4月家賃値上げ「当面延期」
ⅩⅥ 規制改革路線をひきつぐ民主党政権、迷走の3年余
1 「事業仕分け」で仕掛けた公団住宅廃止・民営化戦略/2借家法と公営住宅制度の改悪の動き/3公団住宅にたいする国土交通省の基本的立場
第5部 存亡の岐路に立つ公団住宅
ⅩⅦ 第2次安倍内閣の公団住宅「改革」の新シナリオ
1都市機構改革の閣議決定(2013年12月24日) /2第3期中期目標・計画(2014~18年度)と2016年度決算/3機構賃貸住宅「改革」のシナリオ―団地統廃合と継続家賃総値上げ
ⅩⅧ どこへ行く住宅政策―公団住宅居住者の生活と要求
1「新たな」住宅セーフティネット―末路をみせる住宅政策/2公団住宅居住者の生活と住まいの推移

主要参考文献
あとがき:何をなすべきか

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