【書評】森田尚人・松浦良充編著『いま、教育と教育学を問い直す』

【書評】森田尚人・松浦良充編著『いま、教育と教育学を問い直す』

『全私学新聞』 第2484号 令和元年8月3日

 

教育哲学はかつて教育学において中核的な位置を占めていた。だが20世紀になると実証的・実験的な手法が発展し、それにより教育哲学は教育関係学の一部となり、見方によっては周辺的な地位になった。さらに今では科学・情報技術の革新により、教育学も単純明快な実証の結果で導かれることが重視されている。

しかし、教育哲学が全く必要でなくなったわけではない。効率の良い教育方法や理論を開発できたとしても、それが何のために行われるかという議論や検討なしに適用することは不適切だ。教育の実証的研究と哲学的考察が』合わさることで、適切な方策を行うことが可能となる。

本書は「教育と教育学の編み直しに向かう教育哲学」「歴史を捉え未来を展望する教育哲学」「教育の実践と技術と格闘する教育哲学」の三つのテーマでまとめている。社会と連接する面で常に流動的な教育の意味や目的を、問い続けるための良い手引きとなる。

編著者は元中央大学教授の森田尚人氏と慶応義塾大学教授の松浦良充氏。

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