単行本未収録の海洋法関係論考を集大成27年にわたり国際司法裁判所の裁判官を務めた著者は、また、国際法とりわけ海洋法に関する優れた研究者であった。本書は著者が主として国際司法裁判所赴任後に発表された論文11編から成る第一部に加え、海洋法生成についての裏話ともいうべき雑誌掲載の随想をまとめた第二部、さらに第三部として1960~1970年代に新聞に寄稿された時事的論説を収録した、著者の海洋法における単行本未収録の論考を集大成した一冊である。
タイトル | 小田滋・回想の海洋法 |
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刊行日 | 2012年05月01日 |
著者 | 小田滋著 編集協力:佐俣紀仁 |
定価 | 7600+税) |
ISBN | 978-4-7989-0108-4 |
Cコード | 3032 |
ページ数 | 504 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
第一部 海洋法論考
第一論文 激動する海洋開発の国際法―アメリカの新しい提案―
第二論文 海洋法―法と政治―
第三論文 新しい漁業の制度と紛争解決―第三次海洋法会議審議におけるひとつの盲点―
第四論文 国連海洋法条約の裁判付託条項の考察
第五論文 海洋法研究回想
第六論文 国家実行に照らした国連海洋法条約の現実性に関する疑問
第七論文 一九七〇年のアメリカおよび一九七一年の日本による一二海里領海に関する提案
第八論文 日本の歩んだ新海洋法への道
第九論文 国際海洋法秩序の五〇年
第一〇論文 海の法秩序
第一一論文 近年の海洋法の発展に関する若干の考察
第二部 海洋法あれこれ (随想)
①「魚だけの海ではない」
②海洋法研究のはしり
③「人類の共同財産」としての深海海底―発想のはじまり―
④海洋法と海洋学のはざま
⑤アジア・アフリカと国際法―アジア・アフリカ法律諮問委員会のことを中心として―
⑥「大陸棚」の拡大―第三次海洋法会議に先立つアメリカの対応―
⑦海における三カイリ、十二カイリ、二百カイリの攻防
⑧第一次、第二次国連海洋法会議の頃―内外海洋法人物史の側面―
⑨「海洋法マフィア」―一九六〇年代の海洋法群像―
⑩海洋法に対する日本の対応
⑪海洋法と海洋法条約についての私の疑問
第三部 海洋法時評
一 事前の補償が必要 水爆実験危険水域の設定
二 海底開発の新時代 大陸ダナより広い視野で 国際管理が望ましい
三 大陸棚立法を
四 我が国も大陸棚法を
五 書き換えられる国際海洋法 日本も議論をつくし決断を
六 国連海底平和利用委員会の夏会期を終えて
七 渦巻く海洋法の新潮流 (対談)
八 強まる沿岸国支配
九 どう調和? 領海拡大と自由航行
一〇 AA諸国と海洋法
一一 決着の日迫る海洋法
一二 国際司法裁判所と海洋法〔講演〕
一三 海洋法審議の問題点