【書評】渡辺雅子著『韓国立正佼成会の布教と受容』

渡辺雅子著『韓国立正佼成会の布教と受容』

A5判・328頁・3700円+税

週刊仏教タイムス 第2827号 2019年10月17日・24日合併号

 

文化的差異に直面しながら

15年ほど前の「宗教と社会」学会で韓国で布教する日本宗教を論じたパネル討論があった。その中で、韓国当局が調査によって日本宗教の信仰者が100万人以上いることに驚いたという報告が韓国の研究者からなされた(と記憶する)。

 

本書によれば、突出しているのは創価学会の149万人、次いで天理教の28万人、日蓮正宗の3万人。世界救世教や霊友会、立正佼成会などの第2グループは3千~4千人規模だという。著者はかつてブラジルにおける日系新宗教について調査し、その成果を『ブラジル日系新宗教の展開―異文化布教の課題と実践』として発表。同書では複数の教団を取り上げているが、本書では韓国立正佼成会に絞っている。1970年代末から韓国での布教が本格化していくが、韓国社会の世相や時代の変化、基層にある文化的差異(摩擦)といった課題に直面しながらも、在日コリアンから始まった布教が「すべて信者は韓国人」となる今日の状況に至るまでの経緯を詳細に論述する。

 

韓国布教では、在日コリアンの李福順・英子母娘(後に二人とも教会長)の存在が欠かせない。辛抱強い努力の積み重ねがあった。反日感情が根強く、日本の宗教というだけで大きなハンディを背負っている。儒教があるため先祖供養が受け入れられやすいと思いきや、そうでもなかった。

例えば佼成会の特色である総戒名は自宅に祀り込むが、韓国では自宅に先祖を祀ることはしない。鬼神が入ると考えられているためだ。そのため家々の総戒名を教会内の戒名室に安置する信者がほとんどだ。李母娘はあらゆる面で日韓の宗教(佼成会)文化を橋渡しする存在でもあった。

 

法制度からみると、活動するために便宜的に大韓仏教法華宗の傘下に入り、「佼成寺」とした時代もあった。1998年には自主独立団体「在家仏教韓国立正佼成会」として、日本の立正佼成会本部と姉妹結縁した。

韓国人幹部と在日コリアン教会長のライフヒストリーは入口は「方便」だが、そこから信仰を深めていく信者と指導する教会長という両面が理解できる。

 

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