【書評】副田義也著 『教育勅語の社会史』 

『教育勅語の社会史』

(東信堂、2021年、A5判、432頁、5800円+税)

全私学新聞 令和3年6月3日 第2546号(4)読書―新刊を紹介しますより

「本書を執筆する著者の動機の根底には、日本人とはなにかという問いがある」と言う。

それを踏まえ、著者の副田義也氏は次の3点を「覚え書き」している。

第一に本書が「教育勅語」の歴史社会学的研究の最初の試みとした上で、「歴史社会学的研究が必要であるとかんがえ、そのひとつの範例を示すつもりである」とする。

第二に「本書の研究は、現代社会学の通常の区分にしたがうならば、教育社会学と政治社会学に属する。これについては、私はつぎにように積極的に主張したい。教育は政治である」と述べる。

第三に「本書は、道徳社会学、ナショナリズム論などとして読まれることができる。日本人論、日本文化論の一般的手法として、その倫理規範の体系やその焦点のひとつとしての政治的忠誠、あるいはナショナリズムを論じるというやりかたがある」。「本書の研究は『教育勅語』を素材にして、この手法をとる」。

「第Ⅰ章『教育勅語』の成立前史」「第Ⅱ章『教育勅語』の本文批判と性格規定」「第Ⅲ章『教育勅語』をめぐる諸思想の葛藤」「第Ⅳ章『教育勅語』の作用と効果」「第Ⅴ章『教育勅語』を補完した詔勅など」「第Ⅵ章『教育勅語』の排除と失効確認まで」——という構成。

著者は社会学研究者の副田義也氏。

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