災害の経験を記録・伝承し、未来に活かすために何が必要か?
災害大国日本に生きる私たちは、これまでの災禍で得た経験をソフト/ハード双方の面から記録・伝承し、近未来に生じうる災害に備えなければならないだろう。本書は、国内外で生じた様々な自然災害発生時における行政対応および住民避難の詳細な比較事例分析を通し、そこで得られた個々の「民衆知」を教訓として敷衍し、新たな防災の視座を提供する。行政だけではカバーしきれない、地域社会が担う防災のあり方を示した一冊!

タイトル | 災禍の民衆知と避難行動の比較分析 |
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刊行日 | 2025年03月26日 |
著者 | 松本行真 編著 |
定価 | ¥5720(本体¥5200+税) |
ISBN | 978-4-7989-1960-7 |
Cコード | 3036 |
ページ数 | 328 |
判型 | A5 |
製本 | 上製 |
松本 行真(まつもと みちまさ)
1972年、茨城県勝田市(現ひたちなか市)生まれ。中央大学卒業。大学院修了後、株式会社JMR 生活総合研究所、福島工業高等専門学校等を経て、2019年から近畿大学勤務。
《主要著書》
『被災コミュニティの実相と変容―福島県浜通り地方の調査分析―』(御茶の水書房、2015年)、『東日本大震災と被災・避難の生活記録』(共編著、六花出版、2015年)、『海外日本人社会とメディア・ネットワーク―バリ日本人社会を事例として―』(共編著、東信堂、2016年)、『東日本大震災と〈復興〉の生活記録』(共編著、六花出版、2017年)、『東日本大震災と〈自立・支援〉の生活記録』(共編著、六花出版、2020年)、『原子力災害により分化・複層化する地域社会―復旧・復興に向けた富岡町の道程―』(御茶の水書房、2023年)
久利 美和
文部科学省研究開発局地震火山防災研究課 測地学専門官
杉安 和也
岩手県立大学 総合政策学部 専任講師
イ マデ ブディアナ
ウダヤナ大学 文学部 専任講師
ニ ヌンガー スアルティニ
ガネーシャ教育大学 言語芸術学部 専任講師
地引 泰人
東京大学 大学院情報学環総合防災情報研究センター 特任准教授
齊藤 綾美
東北文化学園大学 現代社会学部 教授
岡野 英之
近畿大学 総合社会学部 准教授
山田 修司
東日本大震災・原子力災害伝承館 常任研究員
吉原 直樹
東北大学 名誉教授
序 章 思考範型としての「防災」を問う 松本行真
第I部 アグン山噴火と住民組織
1 章 地域の特性を生かした火山防災対応―2017年インドネシア・アグン山噴火事例― 久利美和・杉安和也・松本行真・イ マデ ブディアナ・ニ ヌンガー スアルティニ
2 章 アグン山噴火をめぐる住民の避難行動 松本行真・久利美和・杉安和也・地引泰人・ニ ヌンガー スアルティニ・イ マデ ブディアナ
3 章 バリの住民組織「バンジャール」と避難対応 イ マデ ブディアナ・ニ ヌンガー スアルティニ・松本行真
4 章 バンジャールが果たす住民避難 松本行真
第Ⅱ部 集団避難の比較分析―噴火と原子力災害から―
5 章 避難所での住環境 杉安和也
6 章 東日本大震災発生後の住民の避難行動と行政区―双葉町を中心に― 齊藤綾美
7 章 民衆知と住民避難 松本行真
第Ⅲ部 民衆知を教訓にするために
8 章 「防災」に活用されたコネとカネ―西アフリカ・エボラ危機2013-2016年からの試論― 岡野英之
9 章 災害の記憶の場所と資料化の概念 山田修司
10 章 モビリティーズに向き合う復興知 吉原直樹
終 章 記憶は記録・伝承され教訓となるのか―コミュニティ、メディア、アーカイブの視点から― 松本行真