私たちは、自らの「終わり」を決められるのか―?
高齢化が進む日本で、終末期医療や安楽死は誰もが直面する課題となっている―。本書は、「死を選ぶ権利」はあるのか、「その意思を支援した他者は罰せられるのか」という根源的問いに、欧州各国の制度・判例・哲学的議論を通して迫る。安楽死を単なる自由の問題ではなく、プライバシー権・尊厳・統合体という欧州の生命倫理の視座から捉え直し、制度としてそれを支える倫理と法の接点を豊富な資料から詳説。巻末に
は、最新の世界各国の法制度と終末期医療の比較資料を掲載。印象論的な「滑り坂」議論に覆われがちな今こそ、「死を選ぶ自由」が意味するものを問い直す一冊である。

タイトル | 世界は安楽死をどう考えどう迎えるか |
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サブタイトル | ―その現状と理論― |
刊行日 | 2025年06月30日 |
著者 | 盛永審一郎 |
定価 | 1320円(1200+税) |
ISBN | 9784798919744 |
Cコード | 1036 |
ページ数 | 128 |
判型 | A5 |
製本 | 並製 |
公立小松大学大学院客員教授、富山大学名誉教授。1948 年千葉市生まれ。
東北大学大学院文学研究科博士課程中退。研究テーマは実存倫理学、応用倫理学。監修著に『安楽死法:ベネルクス3 国の比較と資料』(東信堂)、著書に『終末期医療を考えるために』、『認知症患者安楽死裁判』、『安楽死を考えるために』(以上丸善出版)、『人受精胚と人間の尊厳』(リベルタス出版)、共編著に『シリーズ生命倫理学第6 巻 生殖医療』、『医学生のための生命倫理』、『理系のための科学技術者倫理』(以上, 丸善出版)、『新版増補・生命倫理事典』(太陽出版)。
共訳書にクヴァンテ『ドイツ医療倫理学の最前線』(リベルタス出版)、『ハンス・ヨナス「回想記」』(東信堂)、ヨナス(加藤尚武監訳)『責任という原理』(東信堂)、ヤスパース『真理について4』(理想社)他。
はじめに
Ⅰ 章 オランダ安楽死の論理
1 嘉助には「死ぬ権利」、「死を選ぶ権利」があるのか?
2 嘉助を苦痛から解放する喜助の行為は、嘉助が致死するとしたら罰せられるのか?
3 「滑り坂論証」と安楽死反対論
Ⅱ章 安楽死法アトラス
1 安楽死のモデル
2 人生終焉法への拡大?
3 「事前指示書」か、「いま」の意思か―オデュッセウスの命令
Ⅲ章 資料編 世界の終末期医療の最新データ 2024.12.01
1 ベネルクス3国の比較
2 安楽死法を持つ各国の状況
①オランダ②アメリカ③カナダ④オーストラリア⑤スペイン⑥ニュージーランド
⑦スイス⑧ドイツ⑨オーストリア⑩フランス⑪イギリス⑫尊厳死に関する法的規制等
3 世界の安楽死法の比較表
おわりに